火災保険の改定で保険料払い過ぎ・損をしやすいケースとは?
火災保険の改定には大きく2種類あり、一つは保険期間に関する改定、もう一つは保険料率に関する改定です。
保険加入する際は、保険料に目がいきがちですが、万一のときにはちゃんと補償を受けられるためにも損をせず賢く保険加入するために、先ずは改定に至る背景の概略をお話ししますので予備知識として収めていただければ幸いに存じます。
保険期間に関する改定の背景
火災保険における最長の保険期間は、建物36年、家財5年でしたが、2015年10月の改定で建物は36年→10年かつ保険料一時払いのみになりました。
この背景には、建物の適正な評価と比例てん補を解消する目的がありました。
建物の適正な評価と期間
そもそも建物を適正に評価するには毎年の物価を反映するのが必然で、その評価期間の許容年数は10年が適正とされたため、保険期間が最長10年に改定されました。
物価を反映すると36年間も同じ評価なんてありえないですよね。
比例てん補の解消
比例てん補って聞きなれませんよね。
比例てん補とは、例えば、2,000万円の建物に保険金額1,000万円で保険加入し、台風で100万円の損害が発生した場合、50万円しか保険金が支払われないのです。
評価に比例して”てん補する(支払う)”ので比例てん補と言います。改定前には災害の度に比例てん補が原因で「こんなはずじゃなかった」と時折トラブルが起きていました。
比例てん補を解消して実損てん補するためには適正な評価が必要という訳です。
保険料率改定の背景
火災保険のご契約者の加入内容について、火災だけではなく台風や水害、雪害等についても補償される内容に加入されている方が多く、また地震保険については火災保険の特約になり、火災保険における岐阜県の地震保険付帯率は79.3%※と全国平均の68.3%※と大きく上回り岐阜県民のリスクに対する意識の高さがうかがえます。(※2020年度損保協会資料データ)。
昨今では台風や豪雨等による自然災害が多発し、多額の保険金が支払われています。ご参考までに、損保協会の統計から災害種類と支払保険金を紹介します。
年度 | 災害の種類 | 支払保険金 |
2011.3.11 | 東北地方太平洋沖地震 | 1兆2,881億円 |
2018年度 | 台風21・24号、7月豪雨 | 1兆3,578億円 |
2019年度 | 台風15・19号、10.25大雨 | 5,330億円 |
2020年度 | 台風10号、7月豪雨、2021.1.7大雪 | 2,196億円 |
このように多額の保険金支払いは保険会社の支払準備金に影響を及ぼし、保険料率改定(値上げ)に踏み切らざるを得ない状況になる訳です。
改定に合わせた損をしない保険加入
こうした背景の下、毎年のように大規模災害が発生し多額な保険金が支払われているので改定頻度が短くなるばかりでなく、リスクごとにも改定されるようになり、具体的には、補償のカテゴリごとに改定(風災等の基本補償はじめ水災補償等)、建物の構造別に対する改定(マンション構造、耐火・非耐火構造)、物件に対する改定(住宅物件、一般物件、工場物件)、保険期間の長期割引に対する改定です。
もう一方で、改定には自然災害等に対する保険金支払いを原因とするものばかりではなく、建築技術等の向上により耐火基準の見直しもあり、保険料割引の対象になるケースもあります。
前置きが長くなりましたが、ズバリ!損をしない保険加入方法は、保険料がアップするような改定の際には、改定の前に中途更改(現契約を解約して新たに契約をやり直し)することです。
中途更新することで保険料アップを最長5年間先送りすることができます。
まとめ
改定に至る背景と改定項目等を縷々申し上げましたが、損をしない賢い保険加入するには、前述の中途更改で保険料アップを先送りする方法に併せて、改定とは異なりますが、約定付保をすることで更に保険料をお得にできます。
約定付保とは建物の評価額に対して10~100%まで10%刻みの割合で保険金額(補償額)を約定することができ、全損の場合は割合分を上限に支払い、部分損害の場合には実損てん補支払いするので比例てん補の心配はありません。
損をしない賢い保険加入のコツは、新聞等のニュースをごらんいただくのも良いですが、毎年ご加入先に「改定はありませんか?」とか「損をしないトピックはありませんか?」とお尋ねいただくのが良いかと思います。
損害保険(自動車保険)の払い過ぎ・損してしまうケースや生命保険の払い過ぎ・損してしまうケースについてもお話させていただいていますので、ぜひご参考にしてみてください。